気管支喘息について
気管支喘息はどんな病気?
気管支喘息の病態は空気のとおり道である気管支に炎症がおこっていて、そのために健康人だったら大丈夫な刺激に対して敏感に反応して気道が狭くなります。そのために咳や、呼吸が苦しくなり喘息発作がおきます。
どのような刺激が発作を起こすかというと、アレルギーによるものとアレルギーとは関係なくおこるものに分けられます。小児の場合は気道炎症を起こす原因がアレルギーであることが多いのが特徴です。ダニ、ホコリ、カビ、動物の毛やフケなどの吸入が発作の誘因となります。アレルギーとは関係なくおこるものとしては風邪などの感染、季節による急な温度変化、運動などがあげられます。
気管支喘息の治療
喘息発作がおこれば薬剤の吸入、内服治療を行い数日で発作は治まってきます。しかし気道をみると気道炎症は残ったままです。直ぐに治療を中止するとまたすぐに発作が起きてしまいます。気道の炎症が続くと、炎症よりダメージを受けた気道の組織は完全にはもとどおりには治らず変形してしまうことがあります。これを気道のリモデリングといいます。リモデリングがおこり進行すると呼吸機能が慢性的に低下し重症化し、自然治癒が見込めなくなります。
従って喘息の治療はリモデリングがおきないように発作が治まっても暫く吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などの抗炎症作用をもった薬剤を続けなければなりません。
当院での治療
当院では5歳以上の患者にはまずNO(呼気一酸化窒素)と呼ばれる検査で気道の炎症の有無を測定し、その後スパイロメターで気道の閉塞の状態を評価します。これらの検査結果を参考にして、それぞれの患者さんに最も適切な治療方針を考えております。
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STEP1
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呼気NO(一酸化窒素)値測定・スパイロメーター(肺呼吸機能検査)
喘息の病態は好酸球による気道の慢性炎症です。呼気に含まれる一酸化窒素濃度(NO)を測定し気道の炎症状態を評価します。続いてスパイロメーターを用いて息を大きく吸ったり吐いたりして肺活量や気道の閉塞状態を調べます。これらの検査より喘息の重症度を判定します。
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STEP2
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治療方針の説明
それぞれの患者さんに最も適切な治療を考え、治療方針をご説明します。
運動誘発喘息と運動療法
運動によって喘息発作がおこる現象を運動誘発喘息といいます。およそ喘息児の60%にみられます。治療コントロールができていない例や重症な喘息ほど起きやすい傾向にあります。空気が乾燥している環境で誘発されやすく、冬の晴れた日でのランニングは最も起きやすい環境下での運動です。当院には日頃は発作がないが、運動すると呼吸が苦しくなるという訴えで受診される小~中学生の方がよくいらっしゃいます。この中には肺機能は正常で特に気道狭窄は認められないのですが、NOを測定すると高値で、気道炎症が存在しており喘息が治り切れていないと推測される例もあります。
実際に当院で運動負荷テストを行うと肺機能が低下し発作が誘発されます。このような症例はステロイド薬と気管支拡張薬の合剤を吸入することによって運動発作予防が期待できます。運動負荷テストはどれだけ喘息が寛解しているかも評価できます。当院では予約制で実施致しております。
運動を続けていけば、体力もあがり過敏である気道反応も減弱してきて喘息の寛解につながります。水泳は湿度の高い環境なので運動誘発喘息を起こしにくい最も安全な運動として推奨されます。ただし、他のスポーツでも発作が起きないようであれば、好きで長く続けられる運動をされてもいいです。
私の昔の研究ですが、喘息の子供たちに、8週間の水泳と自転車運動によるトレーニングをそれぞれのグループに分かれて行いました。この結果トレーニング前と比べて両グループで体力の向上と運動誘発喘息の明らかな改善をみとめました。また互換性についても検討した結果、別の運動種目(水泳ならば自転車、自転車ならば水泳)においても
それぞれ体力の向上と運動誘発喘息の改善が認められました。ただしトレ-ニングを中止するとその効果は減弱していきます。
日常生活では自分にあった運動を選び運動誘発喘息を起こさないように予防して、週に2-3回程度長く続けることをお勧め致します。
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